
スペインワインを代表する「シェリー酒」入門 徹底解説(保存版)
スペインワインワイン業界に30数年携わっている筆者が徹底的にシェリーについて解説いたします。 シェリーとかシェリー酒と日本では呼ばれていますが、これを知るにはまず、スペインの以下8つの地域を知ることが必要です。 楽~に楽しみながら覚えてください。 決して難しいワインではありません。 ただし、当たり前ですが飲まないと味がわからないので覚えません! スペインワインの8つの産地 ① リオハ地方 ② カタルーニャ地方 ③ バスク地方・ナバーラ地方 ④ ガリシア地方・アストゥリアス地方・カンタブリア地方 ⑤ カスティーリャ・イ・レオン地方 ⑥ カスティーリャ=ラ・マンチャ地方 ⑦ アンダルシア地方 ⑧ カナリア諸島・バレアレス諸島 「シェリー」は、アンダルシア地方アンダルシア州で生産され、 ポルトガルの「ポートワイン」 「マディラワイン」 とともに、 世界三大酒精強化ワイン といわれています。 その「シェリー」を皆さんどのくらい知ってますでしょうか? なかなか日本の食卓へ出現する機会が少ないワインです。 シェリーって何? シェリー(シェリー酒)はワインです シェリーとは、主に食前酒や食後酒として飲む「ワイン」です。 カクテルのベースとしても使われます。 一般的に食前酒というと「辛口」ですが、シェリーには、辛口~極甘口まで様々なタイプがあります。 アルコール度数の高い「酒精強化ワイン」と呼ばれているワインです。 もともと現地では「シェリシュ」と呼ばれていたのですが、 英語で「シェリシュ→シェリー」、 スペイン語で「シェリシュ→ヘレス( Xerez)」 フランス語で「シェリシュ→ケレス(Xérès)」 日本では「シェリシュ→シェリー酒」と派生してます。 イギリスで売れたので「シェリー」が一般化されています。 ここでも説明の便宜上「シェリー」で統一することにします。 シェリーの生産地 アンダルシア州 アンダルシア州の8つの県 アンダルシア州には、8つの県(県都)があります。 「アルメリア県(アルメリーア(Almería))」 「カディス県(カディス(Cádiz))」 「コルドバ県(コルドバ (Córdoba))」 「グラナダ県(グラナダ(Granada))」 「ウエルバ県(ウエルバ(Huelva))」 「ハエン県(ハエン(Jaén))」 「マラガ県(マラガ(Málaga))」 「セビリア県(セビリア(Sevilla))」です。 アンダルシア州の10の自治体 そして、10の自治体があります。 「セビリア」 「マラガ」 「コルドバ」 「グラナダ」 「ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ」 「アルメリーア」 「ウエルバ」 「マルベージャ」 「カディス」 「ドス・エルマーナス」です。 ★シェリーは、アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ とその周辺の60社以上の製造工場で造られています。 製造方法 フロール(産膜酵母) 「産膜酵母」シェリーを造る際、最も重要なものです。 まず通常の白ワインを造るのですが、半年以上樽に入れたまま置いときます。 そしてワインの表面に浮かび上がってくる「膜」が「フロール(産膜酵母)」といいます。 これが、糖分を吸収してしまうのです。 そして辛口に仕上げていくのですが、へーゼルナッツや胡桃のようなシェリー独特の風味を与えるのです。 酒精強化 フロール(産膜酵母)によって造られたワインをタイプ別に変えていく工程です。 ワインにブランデーを加えて「酒精強化」していくのです。 フロールは、アルコール度数15%前後で活動しますが、17%までアルコール度数が上がると、活動が止まります。そうなるとフロールが消失し、空気に触れた状態が続き酸化熟成していきます。 酸化はシェリーにおいて悪い作用ではないのです。 むしろ、とても良い風味になるのです。 この酸化熟成タイプ=「オロロソ」「パロ コルタド」、 フロール下で熟成したタイプ=「フィノ」「マンサニーリャ」、 その中間=「アモンティリャード」と分類されます。 詳しくは後述します→「シェリーの種類」 ソレラシステム シェリーのワイナリーには、貯蔵樽が三段から四段以上に積まれています。 瓶に詰める際に、一番下の樽から取り出します。減った分を下から二段目の樽から補充します。 二段目の樽の減った分を下から三段目の樽から補充します。 最上部の樽が出来たての若いシェリーであり、同じように下へ下へと補充していくのです。 この工程を「ソレラシステム」といいます。 こうすることで若いシェリーが熟成を経たシェリーと混ざり、独特な風味がついてくるのです。 シェリーのブドウ品種 3種類のブドウで造ることが規定されてます。 パロミノ種(Palomino) シェリーを代表する品種。皮が薄く、色は黄色がかった緑、香や味はほとんどなく、辛口シェリー専用品種です。 ペドロ・ヒメネス種(Pedro Ximénez) 含有糖度が酸度より高く、皮が薄く、ドライフルーツのような凝縮した甘みを引き出せる極甘口のシェリー専用品種です。 モスカテル種(Moscatel) 日本でも栽培されている「マスカット」です。 アフリカが起源といわれています。 ベネンシアドール ベネンシアという長い柄杓を使って樽からシェリーをくみ出し、グラスに注ぐこの地方ならではの伝統の技です。 フロールの下からくみ出すために長い柄杓となってます。 シェリーの種類(タイプ) 辛口 フィノ 辛口で軽い口当たりが特徴で、食前酒の定番です。 規定アルコール度数15~18%、熟成期間は3~4年。 例外で5~6年熟成させたものもあります。一般的に黄みがかった麦わら色と表現されます。 オードブルやタパスによく合います。 ぺぺおじさんの愛称で有名な「ティオペペ」が一番ポピュラーですね。 ゴンザレス ビアス ティオペペ 楽天市場で見てみる Amazonで見てみる Yahooショッピングで見てみる マンサニージャ フィノでもサンルカール地区で熟成されたものだけをマンサニージャと呼びます。 規定アルコール度数15~19%、3~10年の熟成期間が標準で、フィノより淡い色で軽やかでデリケートなワインです。 タパスやマイルドなチーズによく合います。 JEREZ シェリー【バロン・ミカエラ】マンサニージャ 楽天市場で見てみる Amazonで見てみる Yahooショッピングで見てみる アモンティリャード(アモンティジャード) 琥珀色で柔らかな辛口、軽やかな風味があります。 フィノとオロロソの中間で、フィノの熟成タイプです。 規定アルコール度数16~22%、熟成期間が長いほどアルコール度数も高くなります。 コンソメスープなどスープ全般、熟成チーズ、中華系ソースの料理に良く合います。 バルデスピノ ティオディエゴ アモンティリャード 楽天市場で見てみる Amazonで見てみる Yahooショッピングで見てみる オロロソ 辛口で重厚な味わいです。規定アルコール度数17~22%。 フロールなしで酸化熟成しているために、ブランデーみたいな色で、香り豊かで味わいはまろやか、力強さを感じられます。 ジビエ料理などのしっかりした赤身肉、熟成チーズによく合います。 デルガド・スレタ・オロロソ・モンテアグード・シェリー 楽天市場で見てみる Amazonで見てみる Yahooショッピングで見てみる パロ・コルタド 柔らかな辛口で重厚な味わいです。 規定アルコール度数17~22%。オロロソのコク、アモンティリャードの香りを持つ、個性的なワインです。 デルガド・スレタ パロ・コルタド モンテグード 楽天市場で見てみる Amazonで見てみる Yahooショッピングで見てみる 極甘口 ペドロヒメネス ペドロ・ヒメネス種単独で生産されます。 凝縮された甘さと濃い色合いが特徴であり、色合いはブレンドコーヒーやエスプレッソに近いです。 甘みと酸味のバランスが取れてます。 規定アルコール度数は15~22%。 デザート、チョコレートやブルーチーズに合います。 シェリー ワイン バルデスピノ エルカンダド ペドロヒメネス 楽天市場で見てみる Amazonで見てみる Yahooショッピングで見てみる モスカテル モスカテル種のみで製造されます。 ペドロヒメネスよりも淡い色のワインです。 規定アルコール度数15~22%。 主にバルとか飲食店で売られます。 JEREZ シェリー【バロン・ミカエラ】モスカテル 楽天市場で見てみる Amazonで見てみる Yahooショッピングで見てみる 甘口 辛口と極甘口をブレンドしたものが甘口です。 特にイギリスで人気があり、ブレンドする辛口/極甘口の種類によって、ドライ、ミディアム、ペイル・クリーム、クリームなど、様々なタイプに分けることができます。 デザートに合わせるのが一般的ですが、フォアグラやフルーツ、スパイシーな料理や甘辛ソースにも合います。 ヴィンテージ・シェリー 年代もののシェリーです。 アメリカン・オークで熟成。ドライ・フルーツ、オーク樽を想わせる香り。 複雑だがバランス良く余韻が長い。やわらかくスウィート。 やや冷やして食後向きです。 ビンテージ フィノ [2011] ゴンザレス・ビアス 楽天市場で見てみる Amazonで見てみる Yahooショッピングで見てみる スペインワインを代表する「シェリー酒」入門 徹底解説(保存版)のまとめです シェリーって何? シェリー(シェリー酒)はワインです 世界三大酒精強化ワインのひとつです。 シェリーの生産地はアンダルシア州 シェリーは、アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺の60社以上の製造工場で造られています。 製造方法 フローラ(産膜酵母) フローラによって独特の香りに仕上げます 酒精強化 ブランデーを加えてタイプ別に仕上げていきます。 ソレラシステム 下の樽から使用し、上から順番に補充していきます。 シェリーのブドウ品種 パロミロ種、ペドロヒメネス種、モスカテル種 の3品種のみ認められています。 ベネンシアドール ワインを注ぐ伝統の技です。 シェリーの種類(タイプ別) 辛口 フィノ、マンサニージャ(マンサニーリャ)、アモンティリャード(アモンティジャード)、オロロソ、パロ・コルタド 極甘口 ペドロヒメネス、モスカテル 甘口 ヴィンテージシェリー 以上、世界を駆け巡るワインアドバイザー はぎおまさる がお届けしました。 see you! 続きを読む