ワインアドバイザーとして日本のみならず世界のワイン畑を飲み食べ歩いた筆者がたどり着いた先が、なんと自国だったりしました!
30有余年業界にいますが、平成最後のここ10年くらい、目覚ましいというか粛々と進化を遂げ、日の目を浴びています。
世界が認める日本の国産ワイン
ん?
日本のこくさんワイン・・・・?
国産ワイン・・・・・?
目次
「日本ワイン」と「国産ワイン」の違いって何?
日本ワイナリー協会によると、
「日本ワイン」とは、
日本国内で栽培されたぶどうを100%使用して日本国内で醸造されたワインです。
日本ワインの特徴はその多様性です。
日本を代表する白ワイン用品種の「甲州」や、赤ワイン用品種の「マスカット・ベーリーA」などの日本固有の品種に加え、アメリカ原産ラブラスカ種との交配種、さらに近年はシャルドネ、メルローといったワイン専用種も導入され、幅広い品種から多様な味わいのワインが造られています。
全般的な味わいの特徴は、日本の伝統的な料理と同じく、「繊細さ」です。まさに和食と日本ワインはこの繊細さにおいて相性の良さを発揮します。すし、てんぷら、スキヤキに最高にあうワインが日本ワインです。
和食もそうですが、メイドインジャパンブランドは、世界中で大評判となっています。日本の国産ワインもしかりです。
その日の目を浴びてきた日本のワインについてしっかりと把握しておきましょう!
この「国産ワイン」とか「日本ワイン」とか言い回しも変わってきました。いまは「日本ワイン」で統一されてきました。
この部分は非常に大事ですので、国税庁、「政府広報オンライン」からの抜粋も入ります。
<日本ワインと国産ワインの違い・ワインラベルの表示基準:取材協力:国税庁 文責:政府広報オンライン>
ワインラベルの表示基準が明確に!

ブドウの収穫地や品種、製造方法などによって味わいが異なるワイン。海外のワイン生産国では、ラベルの記載内容などを厳格に規定する公的なルールが設けられています。一方、日本のワインには、これまでそうしたルールがありませんでした。そこで、消費者にとって分かりやすくすることなどを目的に、日本初の公的なワインの表示に関するルールが2015年10月に制定され、2018年10月30日から本格的にスタートしています。
1.なぜ、「ワインのラベル表示のルール」がつくられたの?
「日本ワイン」とそれ以外の国産ワインを分け、商品選択に役立てるためなのです。
ワインというと、フランスやイタリア、カリフォルニアなどが産地として有名ですが、近年は日本産のワインを楽しむ人も増えてきています。ワインを選ぶときの参考になるのが、ワインのラベルに表示されている様々な情報です。ラベルには、原料となるブドウの産地や品種、収穫された年などが記載されており、消費者にとって重要な情報です。
そのためヨーロッパやアメリカなどの主要ワイン生産国では、それぞれワイン法などワインの表示に関する公的な基準があります。
一方、日本では、その基準がなく、ラベル表示のルールは、ワイン業界の自主基準に委ねられており、消費者の誤解を生みやすい状況でした。例えば、一般的に「国産ワイン」と呼ばれていたものには、国産ブドウのみを原料とした「日本ワイン」のほか、海外から濃縮果汁や原料ワインなどを輸入し国内で製造したワインが混在し、「日本ワイン」とそれ以外のワインの違いが分かりにくくなっていました。また、日本産のワインの品質向上などにより、輸出も増え、国際的に通用する基準が求められていました。
そこで、消費者がワインの原料や産地などの情報を正しく知り、適切な商品選択ができるようにするため、2015年(平成27年)10月、日本初の公的なワインの表示に関するルール「果実酒等の製法品質表示基準」(以下、「ワインのラベル表示のルール」と言います。)が定められました。この「ワインのラベル表示のルール」が、2018年(平成30年)10月30日から本格的にスタートします。
<取材協力:国税庁 文責:政府広報オンライン>
「ワインのラベル表示のルール」では、日本国内で製造された果実酒・甘味果実酒を「国内製造ワイン」、その中で、国産のブドウのみを原料とし、日本国内で製造されたものを「日本ワイン」と定義し、日本ワインに限り、ラベルに「日本ワイン」という表示ができるようにしました。そして、日本ワインについては、一定のルールの下、地名やブドウの品種名、収穫年を表示できることとしました。
一方、国内製造ワインのうち、日本ワイン以外のワイン、すなわち輸入ワインや濃縮果汁などの海外原料を使用したワインは、表ラベルに「輸入ワイン使用」「濃縮果汁使用」などの表示をすることが義務付けられました。
また、裏ラベルには、従来から酒類業組合法や食品表示法によって、「製造者名」「製造場所在地」「内容量」「品目名」「アルコール分」を表示することが義務付けられていますが、これらに加え、消費者の商品選択に資する観点から、「日本ワインであること」「原材料及びその原産地名」の表示が新たに義務付けられます。
新たな表示ルールでは、日本ワインに限り、条件をみたせば、地名(ワインの産地名、ブドウの収穫地名、醸造地名)、ブドウの品種名、ブドウの収穫年を表示することができます。日本ワイン以外の国内製造ワインは、表ラベルに地名やブドウの品種名などを表示できなくなります(※)。
※なお、日本ワイン以外の国内製造ワインであっても、裏ラベルの一括表示欄には、原材料の原産地としてブドウの収穫地及び品種名を表示することはできます。(1)地名を表示する条件
地名は、ワインのラベルに表示する情報の中でも、商品のブランドイメージに直結するため最も重要であることから、表示基準で細かく規定されています。■ワインの産地名
その地域のブドウを85%以上使用し、かつ、醸造地がそのブドウの産地内にある場合。
(表示例:長野ワイン、長野)
■ブドウの収穫地名
同一の地域のブドウを85%以上使用している場合。
(表示例:山形産ぶどう使用)
■醸造地名
地名の示す範囲に醸造地(ワイナリー)がある場合。
ただし、ブドウの収穫地ではないことを記載する必要があります。
(表示例:長野醸造ワイン *長野は原料として使用したブドウの収穫地ではありません。)
(2)ブドウの品種名を表示する条件
ラベルに表示したい品種の数によって、表示条件や表示方法が変わります。■単一品種の表示
その品種を85%以上使用している場合。
■2品種の表示
2品種の合計で85%以上使用している場合、使用割合の大きい順に表示。
■3品種以上の表示
表示する品種を合計85%以上使用している場合、それぞれの品種の使用割合と併せて、85%に達するまで使用割合の大きい順に表示。
(表示例:単一品種を85%以上使用した場合)
(3)ブドウの収穫年(ヴィンテージ)を表示する条件
同一収穫年のブドウを85%以上使用している場合。
(表示例:2017年に収穫した場合)
4.「日本ワイン」のブドウ品種は?
主要品種は、白が日本固有種の「甲州」、赤が日本でラブラスカ種とヴィニフェラ種から交配され、やはり固有種といえる「マスカット・ベーリーA」です。1970年代後半からヴィニフェラ種の導入が本格的に始まり、メルロ、シャルドネは権威ある国際コンクールで毎年のように受賞しています。ほかにも赤品種ではカベルネも栽培され、シラー、ピノ・ノワールはまだ栽培面積は取るに足りないものの、チャレンジする生産者が増えてきました。白品種ではケルナー、ソーヴィニヨン・ブランが注目されています。
また、多湿な環境に合わせて山ぶどうとの交配種が開発され沿岸部や冷涼地で栽培されています。19世紀末に生食用に導入されたラブラスカ系のナイアガラ、コンコード、デラウエアなどからもビギナー向けのワインが造られています。5.「日本ワイン」のブドウの特徴
「甲州」のワインはグレープフルーツ、レモンなどの柑橘の爽やかな香りと、穏やかな酸味が特徴でアルコール度数が比較的低い軽やかなワインです。
「甲州」は、6~7世紀頃にシルクロードを通って中央アジアから中国にもたらされ、奈良時代、仏教とともに中国から日本に伝来しました。日本の風土に適応し、主に生食用に栽培されていましたが、現在は日本ワインに最も多く使用される品種になっています。
近年の研究で甲州のDNAを解析したところ、大部分はヴィニフェラですが、1/4中国の野生ぶどうのDNAが含まれているハイブリッドであることが明らかになっています。
「マスカット・ベーリーA」のワインはチェリーやベリー系果実の香りと、果実味あふれる味わいが特徴です。
なお、2010年に甲州が、2013年にマスカット・ベーリーAが国際ブドウ・ワイン機構(OIV)にワイン用ぶどうとして登録されました。これにより、EUへ輸出するワインのラベルにこれらの品種名を記載することができるようになりました。欧米に比べ、ワインづくりの歴史は浅い日本ですが、近年は、国際的なワインコンクールで日本ワインが上位に入賞するなど、高品質な日本ワインが国内外で注目されています。
皆さんも、ぜひ、日本ワインを味わってみませんか。ワイン選びの際には、ワインの表示内容を参考にしましょう。
<取材協力:国税庁 文責:政府広報オンライン>
さて、日本ワインについて詳しく見てきましたが、実際に味わってみないことにはその良さが解らないと思います。
そこでオススメの日本産ワインのご紹介をいたします!
オススメの日本ワイン7選
① 中央葡萄酒(グレイスワイン)
世界を驚かせたグレイスワイン。
個人的ですが、一番のお気に入りがこのワイナリー。
社名は「中央葡萄酒」といいます。
日本ワイン発祥の地、山梨県勝沼町に1923年に創業。グレイスワインの名で親しまれています。
日本で千年以上の栽培の歴史を持つ甲州を中心に醸造しており、2002年には、日照時間日本一、標高700メートルの明野町に自社畑・三澤農場を開園し、ヨーロッパと同じ垣根仕立てにより、甲州を始めシャルドネ、メルロ、カベルネソーヴィニヨン等欧州系のブドウを栽培してきています。
土と栽培努力、そして醸造家の信念が一体となったワイン造りが、世界のワイン家たちの目を釘付けにしています。
グレイス甲州2017
勝沼町産(鳥居平地区・菱山地区)甲州種をシュール・リー製法により醸造されたワインです。
葡萄の甘味とキリリッと引き締まった酸味が印象的な爽やかな辛口です。
近年では国内外の評価も高く、もはやワールドクラスの味わいと美味しさです。
数ヶ月間澱引きをしないで静置し、ワインと澱を接触させることにより奥行きのある味わいを造り上げます。
②
ルミエール
『皇室御用達』であり、平成5年の皇太子殿下ご成婚の際は、シャトー・ルミエールを御献上したなど、皇室と深い結びつきも・・・そんな歴史的背景だけでなく、ルミエールさんのワインが、『モンド・セレクション』をはじめとする、世界のコンクールで、数々の受賞を果たすという実績がその名を轟かせました。
ここ数年メディアなどにも取り上げられてきていますが、全ては現在に至るまでの140年という長い間、一貫して追い求めてきた『最高品質へのこだわり』とその理念だと思います。
ルミエール甲州シュールリー
山梨県産の甲州ぶどうを使い、春まで澱引きしないシュールリー製法で造られています。
ミネラル感にあふれ、フレッシュさを残しながらも程よい厚みのある味わいで、和洋問わずに料理の素材の味を引き立てるワインです。
2009年のヴィンテージは雑誌「dancyu」日本の白ワイン特集で 「即買い大賞」受賞!
家飲み指数100点でなんと第一位に輝き、3ヵ月足らずで完売してます。
③
白百合醸造(ロリアン)
1938年創業。L’ORIENTは仏語で「東洋」を意味し、ヨーロッパに劣らぬ高水準のワイン造りを目指し名付けたそうです。
ワインづくりはシンプルだからこそ原料となるぶどうの良否が大切です。白百合醸造は、原料となるぶどう栽培からワインづくりまで一貫して取り組む、情熱に溢れたファミリーワイナリーです。
ワイン造りはシンプルだからこそ原料となるぶどうの良否が大切です。気候、地質ともに葡萄栽培に適した山梨県勝沼町に自社畑を持ち、常に一貫性のあるワインを追求しています。50余年の伝統に培われた技術によって生まれるロリアンのワイン一飲の価値ありますよ。
ロリアン セラーマスター マスカット・ベーリーA
2016年のヴィンテージが、「サクラアワード 2017」にて、ベスト国産ワイン受賞、ダブルゴールドメダル受賞、ベストコストパフォーマンスワイン(1,501円-2,500円)受賞の快挙!!
山梨県内の選りすぐりのマスカット・ベーリーA種を丁寧に醸造してます!マスカット・ベーリーA種の華やかな風味と鮮やかな赤色が特徴の飲みやすい赤ワインです。
納得!!
④ ドメーヌ タカヒコ
小さなドメーヌであり、ワイン造りでもある農作業に集中するため、Domaine Takahiko からの直接販売は行っておりません。
カンニング竹山さんのSNSでたびたび登場するこのワインは、知る人ぞ知るお宝ワインです。
手に入れるとしたら、ワインショップへ問い合わせるか、こちらのメール会員になってみてください。
できるだけコミュニケーションも取りたいと発信しています。
イベントなどの案内など、お知らせもしたいと思いますので、興味がありましたら、Domaine Takahikoのメール会員への登録お願い致します(メールでお申し込み下さい)。また、ファイスブックやツイッターでも日々の情報を公開しております。
ドメーヌ タカヒコ ナナツモリ ピノ・ノワール
自社農園の2014年ナナ・ツ・モリ ピノ ノワール、ブラン ド ノワール、ヨイチノボリ アイハラパストゥグラン、コハルは、2016年4月6日に全国の酒販店様へ出荷しました。酒販店様によっては、数ヶ月から数年、熟成させてからの出荷となりますので、お問合せをしてみて下さい。またナナツモリ ピノ ノワールがドメーヌタカヒコのフラッグシップワインとなっております。
⑤ リタファーム&ワイナリー
リタファーム&ワイナリーは、「余市ワイン」「ドメーヌ タカヒコ」に続く余市町で3番目のワイナリーとして誕生しました。
夫婦二人で営む小さなワイナリーで、生産本数に限りがあります。専用品種のワインは全て自社畑産のブドウ100%です。ワイン造りは野生酵母による自然発酵で可能な限り自然に逆らわない醸造を実践しています。
風のヴィンヤード メルロー
自社畑「風のヴィンヤード」の南斜面で健全に育ったメルローを全房で仕込み野生酵母でゆっくりと醸しました。
一年程、古樽で熟成させた軽やかな赤ワインですので冷やさずに15℃前後でお召し上がり下さい。
⑥ エーデルワイン
エーデルワインは、岩手県花巻市大迫町で造られているワイン。醸造元は花巻市の第三セクターである株式会社エーデルワインが経営しています。
良いワインは良い葡萄からしか生まれない
エーデルワインで使用する大迫町産醸造用葡萄の生産者は、全員エコファーマーの認定を受け環境にやさしい農業を行っています。
国内外のワインコンクールで連続入賞!
平成元年以来、国内外のコンクールで毎年高評価を頂いております。さらに2012年産は、ダボス会議において日本を代表する白ワインとして、2013年冬季・夏季の2季にわたり世界各国の列席
者に提供されています!
五月長根葡萄園 リースリングリオン2017
看板商品『五月長根葡萄園』は地元花巻市大迫町(おおはさままち)の契約農家20軒のブドウのみからつくられたエーデルワイン自信の逸品です。
⑦
アグリコア越後ワイナリー
ワイン業界30有余年携わっていますが、びっくりしたワインがこれです。
正直、侮ってました。新潟県のワイン・・・何気に飲む機会があり、絶句したワインが
ここアグリコア越後ワイナリーのワインです。
ここを紹介したくて今回の「日本ワイン」を執筆した動機といっても過言ではありません。
画像は、新潟県の魚沼地区の「豚肉のしゃぶしゃぶ」、何気にその地域の日本酒で合わせていただいていたのですが、せっかくだからと買ってきた「越後ワイン」、これが驚きの始まりでした。融点が低いこの地区の豚肉(妻有ポークといいます)に越後ワインの優しく柔らかでかつフレッシュな酸味が絶妙にあったのです。
妻有(つまり)ポークとの出会いについては、こちらの投稿をご参照ください
おススメはこちら↓「雪季」。赤も白も素晴らしい仕上がりでただただ、まじで驚くばかりです。
越後ワイン 雪季(せっき)赤・白
せっかくでしたら赤も白もお試しいただきたいので、両方入ったギフト箱でのご紹介をしましょう。豪雪地帯の「雪室」で貯蔵されたテロワールが良いブドウ、ワインに深く溶け込んでいる逸品です。ここを紹介するワインアドバイザーはいまのところごく少数だと思います。私が現地で発掘した秀逸ワインを是非お試しいただきたいと思います。
「日本ワイン」の表示のルールと、おススメ日本ワイン7選まとめです
和食ブームと共に見直されてきた「日本ワイン」
いまやブームと言っても過言ではありません。
ワインに携わった30有余年前から粛々と努力を重ねている国産ワインの製造者たちの姿を見て多分いまに日の目を浴びるだろうな、とは思っていましたが、見事に花を開いています。
ただし、認知度がまだまだ低いのが現状であり、まずはその特徴や「日本ワイン」とはなんぞや?から知っていただきたく執筆いたしました。
そして、「おススメ日本ワイン7選」としてピックアップしましたが、本当はもっともっとおすすめワインはたくさんあり、枚挙にいとまがありません。
この「オススメ」の項は、単なる「私見」として受け止めてくださいませ。ただし、意見としてはいままでグレイスワインが日本ワインを牽引している、くらいに考えていたのですが、さにあらずで、日本全国、とても頑張ってらっしゃる良い造り手さんがものすごく多いことに気づかされました。
令和時代、オリンピックも開催されますし、私たち日本が誇るワインがこんなにもラインアップされているんだという事を知っていただきたかったのです。
次の記事
初心者でも解かる「オーガニック」入門 「ビオディナミ」との違いは?