しかし、スペインワインを語るには、これだけでは足りません。
何も浮かばなかったアナタ!
大丈夫です。
これをお読みいただければバッチリ、スペインワイン通に近づきます。
ワインの伝統国でありながら、フランスやイタリアほどメジャーでない国、スペインは実は日本の風土によく合い、知れば知るほど楽しいワインなんです。
ワイン業界に携わって30有余年の筆者が、「スペインワイン通」として、
8つのポイントを押さえて解かりやすく執筆してみました。
8つのポイント?
ただひとことで「スペイン」といっても無茶苦茶広いです。
8つのポイント=8つの地域なのです。
スペインワインを把握(覚える)するには、現地に行って触れて味わうのが一番ですが、そう簡単に行けませんので、8つの地域を押さえて、バーチャルトリップ(仮想旅行)をして一緒に楽しく覚えていきましょう!
8つのポイントとは、8つの地域です。
これさえ頭に入れておけば(欲を言えば飲めば、)あなたもすっかりスペインワイン通の仲間入りが出来ることでしょう。
まずは何はともあれスペインとはどんな国なのでしょう?
目次
スペインの国について
日本との時差は-8時間、ヨーロッパ半島の南西に突き出したイベリア半島に位置します。
スペイン語で、「エスパーニャ」、「レイノ・デ・エスパーニャ」、「エスタード・エスパニョール」などと言われています。英語のSpain表記から、日本ではスペインとしています。
太陽と情熱の国、そうです。フラメンコで有名な国ですね。
太陽と情熱の国
[[File:FlamencoSevilla.jpg|thumb|FlamencoSevilla]]Wikipedia
ラテン系が8割を占めるのですが、私が訪れたバルセロナ(カタルーニャ)においては、カタルーニャ人は、スペイン人という自覚は無いのでした。
独立・民族意識がある住民が多く、実際あまり「ラテン系」のイメージを受けませんでした。
17の自治州、50の県、311もの自治体があり、それぞれの地方で大なり小なり独立運動が起きています。それぞれの地方で、風俗、文化、習慣が大きく異なっているのが特徴です。
一日に5回食事をします
一日に5回とは、
①デサジュノ:朝の起き抜けに摂るパンなど。
②メリエンダ・メディア・マニャーナ :午前11時頃のサンドイッチ、タパスなど。
③コミーダ:昼食が一日のメインの食事です。午後2時前後にフルコースを食べます。
④メリエンダ:夕方~午後6時頃、タパス、や軽食を食べます。
⑤セナ:夕食です。午後9時頃、スープ、サラダなどを食べます。
画像は昨年バルセロナを訪れた際のアルムエルソ、スズキのムニュエルです。
スペインワイン通になれる8つのポイント
スペインワインを語るにあたり、分けて語る必要がありますので、8ポイント(地方)に分けてお話を進めていきます。
①リオハ地方、
②カタルーニャ地方、
③バスク地方・ナバーラ地方、
④ガリシア地方・アストゥリアス地方・カンタブリア地方、
⑤カスティーリャ・イ・レオン地方、
⑥カスティーリャ=ラ・マンチャ地方、
⑦アンダルシア地方、
⑧カナリア諸島・バレアレス諸島
広大な国です。8つの地方へ仮想旅行します。
それぞれを代表する景観とワインの特徴・ポイントを見てみましょう。
①リオハ地方
「リオハの赤ワイン」といったら世界中が認めるステイタスワイン。
スペインで最も格付けの高いワインが産出されます。
西岸海洋性気候と地中海性気候が交じり合う地域で、降水量の多い穏やかな気候です。
全体の75%が赤ワイン、品種はテンプラニーリョ種が80%、長期樽熟成させる製法が伝統的に続けられていますが、最近は短期熟成の、フレッシュさを活かしたワインも出てきています。
「クネ リオハ クリアンサ」 
リオハの名門ワイナリー「クネ」のスタンダードワイン。
赤いベリーの香りと樽熟成由来のオークやバルサミコ酢の香り。口当たりはエレガントで、かつ若々しいスパイスの香りとバランスの良い酸味を伴います。
ブドウ品種:テンプラニーリョ、ガルナッチャ、マスエロ

テンプラリーニョの畑を訪れました。
フランスのボルドーの醸造家がここにきて醸造技術を伝えており、「第二のボルドー」とも呼ばれています。
「リオハ・ワインとブドウ畑の文化的景観」として、世界遺産(ユネスコ)候補地にあがっています。
②カタルーニャ地方

CAVAの製造会社、私が訪れた「コドーニュ」社です!
日本でもお馴染みの、サグラダファミリア大聖堂であまりにも有名な観光地であり、バルセロナが州都です。

定番の観光スポット:サグラダファミリア
スペインを代表するスパークリングワイン「カヴァ」の産地です。
スペイン全土のカヴァの95%がここカタルーニャで造られています。
我々含めた外国人が最も訪れる観光地で、世界的に圧倒的なシェアを誇る「フレシネ社」がここにあります。
「フレシネ・コルドンネグロ」
瓶内二次発酵のカヴァの代表格。フレシネは日本のスーパーでも必ずと言っていいほど売られており、世界的に見てもスパークリングワインで一番売れているブランドワインなのです。
柑橘系の香りとキリッとした酸味の爽やかな口当たりの辛口のスパークリングワインです。
最低限、これだけは飲んでおきましょう。量販店で1200円前後で販売されています。
選ぶのに困ったら(悩んだら)フレシネでしょうね。
スペイン全土のカヴァの95%が造られています。特選原産地呼称(DOCa)認定地域「プリオラート」も有名です。
その他原産地呼称(DO)認定地域が10か所もあります。
リオハに次いでスペインで2番目にDOCaに認定されています。
③バスク地方・ナバーラ地方
バスク地方
大西洋のビスケー湾に面し、降水量の多い地域です。
バスク地方の「チャコリ」という微発泡性の白ワインが有名。
アルコール度数が低く酸味が強い。
ブドウ品種:白ワインはオンダラビ・スリ種、赤ワインはオンダラビ・ベルツァ種、いずれもバスク地方の固有種です。
「チャコリ・レサバル・アリ」
バスク地方の海に面した畑で育つオンダラビ・スリ種のフレッシュさ、果実味、繊細な泡を備えたワインです。
アリとは、ミネラル感たっぷりな産地区画名です。
ナバーラ地方
リオハに隣接しており、大陸性気候で、適度な降水量と湿度を持ちます。
スペイン国内ではリオハの廉価版といわれています。
総生産量に占める赤ワインの割合が70%、ロゼワインの割合が25%です。
「サンティアゴ・ラバリ・エレ・フォンブレ・マグニフィコDOナバーラ」
濃縮した高品質のガルナッチャの旨味。少し濃いルビー色で、アニスやバラの香り。
爽やかな酸でなめらかなタンニン。ブドウ品種:ガルナッチャ100%
④ガリシア地方・アストゥリアス地方・カンタブリア地方
アストゥリアス地方・カンタブリア地方
この2つの地方で1857年に2,225ヘクタールあったブドウ畑が、2009年には130ヘクタールと減っており、DO産地も1つだけ。
特にアストゥリアス地方ではワインよりもシードラ(リンゴ酒)が有名です。
⑤カスティーリャ・イ・レオン地方
この地域の中心を流れるドゥエロ川流域はワインの銘醸地です。リベラ・デル・ドゥエロ (DO)は、テンプラリーニョ種を100%使用した赤ワインで有名。
リベラ・デル・ドゥエロ (DO)
EMILIOMORO
リベラ・デル・ドゥエロの赤ワインを代表します。深みのある濃い赤色で、香りはバニラ、樽香、フルーツの香り。味わいは滑らかでパワフル。酸味と果実味のバランスが良くエレガントな余韻が残る逸品です。
トムクルーズやサッカーの元選手、ベッカムやジダンらが好むセレブワインとして有名です。
ただし、このワインの凄いところは「高く」ないのです。
ちょっと、見るだけ見てくださいまし。
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また、白ワインは、ルエダ(DO)があります。ルエダは、石灰質土壌であり、ブドウ品種は、ベルデホ、ビウラ、パロミロ種が栽培されています。
ルエダ (DO):白ワインです。ルエダは石灰質土壌であり、ベルデホ種、ビウラ種、パロミノ種で造られます。
ラ・マンチャ (DO):特徴:DO認定面積がスペイン最大(186,942ヘクタール)で、総生産量の2/3が赤ワイン。かつては安価な白ワイン(アイレン種主体)が多かった時期もありました。
「ボデガス・ヴェンタ・モラレス」
DO La Manchaの中でも最良のテロワールにあります。
非常に乾燥した土壌、気温の寒暖の差が、高品質のワインを生み出すのです。
収穫はすべて手摘み、この最高のテロワールをテンプラニーリョで最大限に表現する事を目指しています。
⑦アンダルシア地方
アンダルシア地方西南部のヘレス・デ・ラ・フロンテーラ周辺では、パロミノ種を中心とする白ブドウから酒精強化ワインのシェリーを生産しています。シェリーの製法等は別のコラムで紹介しようと思います。
「ティオペペ」
ドライシェリーの代名詞的ブランドで、食前酒です。薄い黄金色に輝く優雅な色合い、独特の香り、辛口の味わいは、魚介類の料理によく合います。
⑧カナリア諸島・バレアレス諸島
カナリア諸島
アフリカ大陸沖合の大西洋上にあるカナリア諸島は、かつてスペイン有数の甘口ワインの産地として知られていました。カナリア諸島は地理的に孤立しており、19世紀末にヨーロッパ各地を襲ったフィロキセラの災禍を受けなかった地域のひとつである。現在では原産地呼称の認定に熱心であり、主要7島のうちの6島にDO認定地域があります。辛口の白ワインが注目を集めています。固有品種のブドウから希少価値のあるワインが造りだされています。
「エル・エスキロン」
カナリア諸島、テネリフェ島のワイン。島固有の品種リスタン・ネグロを70%使用。ベリー系の果実香と溶岩由来のミネラルのバランス。天然酵母醗酵。海抜500m、火山帯の石の多い土壌。平均樹齢100年のぶどうは、山の斜面を利用し「コルゴン・トレンサード(長くなったぶどうの枝を編みこんで空中を伝わせる)」と呼ばれる島独特の栽培方法をとっています。。
バレアレス諸島
マリョルカ島東部のプラ・イ・リェバン、中央部のビニサレムの2地域がDOに認定されています。ブドウ品種はマント・ネグロ種、カレット種です。赤ワインが生産されています。
EL Columpio(エル コルンピオ)
マント ネグロは、マヨルカ島土着の黒葡萄品種で、糖度が高く、豊かなアロマを持っています。カリェットは独特な個性を持ち、ワインに調和をもたらしてくれます。ブラックチェリーやタバコ、そしてなめし皮のアロマが広がります。タンニンは非常によくこなれていて、リコリスやスパイスのノートが感じられます。個性的ですがとてもバランスのとれた味わい。余韻は非常にエレガントで、洗練された複雑さが感じられます
誰でも「スペインワイン通」になれる8つのポイント まとめです
スペインワイン通になれる8つのポイントとは、8つの主要産地を覚えることです。
①リオハ地方
スペインで最も格付けの高いワインが産出されます。
②カタルーニャ地方
スペイン全土のカヴァの95%が造られています。特選原産地呼称(DOCa)認定地域「プリオラート」も有名です。その他原産地呼称(DO)認定地域が10か所もあります。リオハに次いでスペインで2番目にDOCaに認定されています。
③バスク地方・ナバーラ地方
バスク地方の「チャコリ」という微発泡性の白ワインが有名。
ナバーラ地方はリオハに隣接しており、スペイン国内ではリオハの廉価版といわれています。
④ガリシア地方・アストゥリアス地方・カンタブリア地方
ガリシア地方:ポルトガルと接していて、ポルトガル有数の白ワイン・ロゼワインの生産地域です。リアス・バイシャス (DO)は、スペイン有数の白ワイン生産地域。リベイロ (DO)なども名醸地として知られています。
アストゥリアス地方・カンタブリア地方:この2つの地方で、DO産地は1つだけ。アストゥリアス地方ではワインよりもシードラ(リンゴ酒)が有名です。
⑤カスティーリャ・イ・レオン地方
この地域の中心を流れるドゥエロ川流域はワインの銘醸地です。リベラ・デル・ドゥエロ (DO)は、テンプラリーニョ種を100%使用した赤ワインで有名。
⑥カスティーリャ=ラ・マンチャ地方
ラ・マンチャ (DO):特徴:DO認定面積がスペイン最大(186,942ヘクタール)で、総生産量の2/3が赤ワイン。
⑦アンダルシア地方
スペイン南部、地中海性気候であり降水量が少なく、夏場の酷暑が有名です。マラガワイン、シェリーの産地です。
⑧カナリア諸島・バレアレス諸島
島独特の栽培方法にて、固有品種のブドウから希少価値のあるワインが造りだされています。
最後に、こちらのスペインワインに関する記事もご参照いただければよりスペインワインの知識がさらに深まるものと思います。
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