イタリアワインの格付けとオススメ7選!スーパートスカーナとは?

ワインに携わって30有余年、ワインアドバイザーとして世界の産地を訪ね歩いた経験を発信しています。

今回はイタリアワインです。イタリアワインはとても懐が深く、一言では言い表せないワインです。

基本的な特徴と、イタリアワインの難しい格付けをなるべく解りやすく解説してみました。
オススメワインにつきましては、ピエモンテ州とトスカーナ州の2大産地に焦点を絞りました。 初心者でもすんなりとワインの勉強が出来るオススメのワインを7本紹介します。

目次

イタリアワインの特徴

ワインの生産量が世界一

フランスと拮抗してますが、 実はイタリアが生産量世界一です。

国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が、2018年4月24日に世界のワインについての統計資料について発表しました。
世界のワインの生産量は、2億5000万ヘクトリットル。
1ヘクトリットル=100リットル
なので、250億リットルが世界で生産されたということになります。

1位 イタリア 4250、 2位 フランス 3670万、 3位 スペイン 3210万、 4位 アメリカ 2330万、 5位 オーストラリア 1370万、 6位 アルゼンチン 1180万、 7位 中国 1080万、 7位 南アフリカ 1080万、 9位 チリ 950万、 10位 ドイツ 660万(hl)

イタリアワインの人気の秘密は、栽培されているブドウ品種が多く、オーソドックスな味から個性的な味まで多種多様で奥深いからでしょう。値段もフランスの高級グランヴァンに引けをとらない最高級なワインから、庶民的な安いワインまで様々あるからです。

さらには、イタリアでは、ワインは「水より安い」と言われるくらい国民的な飲み物となっています。現地の 酒屋さんに空き瓶や空の容器を持っていけばワインを入れてくれます。日本でも焼酎とか「計り売り」のお店がたまにありますよね。それのワイン版です。とにかく安く、1リットルで1~2ユーロ(約100~200円)くらいです。

それくらい安いので、人が集まる場所や特別なイベントでは必ずといっていいほどワインを飲む習慣があります。

つまり、イタリアにとってワインはまさに国民酒です。
よって、イタリアにはワインをつくる人たちもたくさんいて、それがイタリアワインの種類の多さにつながっています。

イタリアのワイン法

フランスのAOC(ワインの格付け)と同様に、イタリアにもワイン法があり、 その法律により、格付けがされています。

DOC(原産地呼称管理法)

イタリアでは、1963年に「DOC法(原産地呼称管理法)」が制定され、4つの格付けができましたが、その後、2009年の改訂により格付けが3つとなっています。

ただ、ここで注意しなければいけないのは、イタリアでは従来の格付けでの表記も認められているため、市場では両方の格付けがいまだに使用されています。なかなか統一が難しいのでしょう。古いしきたりとかを重んじる国民だし、我々がどうのこうの言う立場でもありません。

改訂前(1963~2008年)の4つの格付け

D.O.C.G.(統制保証付原産地呼称ワイン)
政府から「最高品質」と認定されているワイン。
ブドウの産地やワインの製法が、一番厳しく管理されています。

D.O.C.(統制原産地呼称ワイン)
ブドウの種類や作り方が一定の基準を満たしているワイン。

I.G.T.(地域特性表示ワイン)
ひとつの地域のブドウを85%以上使っている地酒を表しています。
ラベルに生産地と品種を書くことができます。

V.d.T.(テーブルワイン)
生産地の表示がないテーブルワイン。

改訂後(2009年~)の3つの格付け

D.O.P.(保護指定原産地呼称ワイン)
2009年にEUの統一基準により、格付け1位のD.O.C.G.と2位のD.O.C.がDOPに統合されました。

I.G.P.(保護指定地域表示ワイン)
EUの統一基準では格付け2位のワイン。
イタリアのワイン法のI.G.T.に当たります。

VINO
イタリアのワイン法のV.d.T.に当たり、テーブルワインを指します。

だいたいのところ、シールが貼られていたり、ラベルに記載されていますので、注意深くご覧になってください。

「RISERVA」(リゼルヴァ)と「CLASSICO」(クラッシコ)

最高級の「D.O.C.G.(新ワイン法なら「D.O.P.」)」のラベルには、とくに質が高いことを示す特記事項が書かれているものがあります。
代表的なのが「RISERVA(リゼルヴァ)」と「CLASSICO(クラッシコ)」です。

RISERVA(リゼルヴァ)

この特記事項があるワインは、アペラシオン(原産地)の規定により、同名のワインよりさらに一定期間長く熟成されてなければなりません。より上質で味に深みがあるワインとなります。

CLASSICO(クラッシコ)

この特記事項があるワインは、昔ながらの伝統的な地域でつくられたワインである、と位置付けられています。例をだすと、「キャンティ・クラッシコ」という有名なワインがあります。聞いたことないでしょうか?

ざっと堅苦しいワインの格付け、法律を紹介しましたが、イタリアワインを覚えるには、実際に手に取って、舌で鼻で、味わいを感じなければ絶対に覚えません。そうすることによって初めてイタリアワインの魅力を語れるようになっていくのです。堅苦しい話は以上で終わります。
「ブドウの品種が多く、水代わりに楽しむコストパフォーマンス抜群なワインからじっくり愉しむ高級ワインまで何でもあるイタリアワイン」これからはおススメのイタリアワインのご紹介となります。

おススメのイタリアワイン7選

ピエモンテ州

ピエモンテ州の名前の由来は、「モンテ(山)のピエ(足)」です。州名が示す通り、アルプスの南の山麓に広がり、北をスイス、西をフランスと国境を接しています。州都はトリノです。トリノは、今もイタリア諸都市の中でも最も美しい市街地を誇っていますが、本質的には農業州で、豊かな雪解け水に支えられ、国内一の米作地帯として、又有数のチーズの産地として発展しています。ロンバルディアと共にイタリアでも群を抜いて所得水準の高い州となっています。 ワインの生産量では、全20州の第7位に過ぎませんが、そのDOC(G)の数はイタリア最大で、トスカーナと共に、イタリアの誇る2大名醸地の一つです。本稿では、最も有名なバローロ、そして、アスティ、ランブルスコを取り上げます。

バローロ

ピエモンテ州を代表するこのワインは、ネッビオーロ種のブドウを用いた長期熟成型の赤ワインです。ネッビオーロ種はイタリアで最も高貴な黒ブドウの一つで、収穫が遅い品種なので、ぶどう畑に霧(Nebbia)がかかることからこの名前が付いたと言われています。バローロは『王のワイン』と称され、19世紀にサルディーニャ王国のカルロ・アルベルト国王に気に入られ、称号を与えられたことが由来とされています。

バローロ 

ブドウの品種:ネッビオーロ

バローロ は、しっかりした渋みと酸味がありながら、口当たりはシルクのようになめらかでまろやかなフルボディです。

イタリアを代表する最も有名なワインです。

アスティスプマンテ

フランスの「シャンパーニュ」「ヴァンムスー」、ドイツの「ゼクト」、スペインの「CAVA」と並び称される発泡性のワイン(瓶内二次発酵ワイン)のことをイタリアでは「スプマンテ」と呼びます。

サンテロ 天使のアスティ

ブドウの品種:モスカート(マスカット)

マスカットの華やかな香りと、爽やかな味わいを持つ甘口のスパークリング。天使のデザインが目を引きます。

甘口のスパークリングワインなので、冷蔵庫でよく冷やして飲むのがおススメです。

ランブルスコ

ランブルスコとは、イタリアの微発泡のワインのことで、爽やかな飲み心地の赤ワインになります。

ブドウの品種:ランブルスコ・グラスパロッサ

ランブルスコ 1000円前後から買えます。

濃厚トロトロの極上果実味と、重厚でコク旨の深い味わいです。赤ワインなのにお惣菜なんかにもピッタリ、是非ご賞味ください。

トスカーナ州

トスカーナ州はピエモンテと並びイタリアで最も高品質なワインを生産する州です。州都は花の都フィレンツェです。DOCGが5つ指定されておりイタリアでも最も多く、スーパートスカーナと呼ばれる高品質ワインも多数生産されています。トスカーナで一番ポピュラーなのはキャンティですね。殆どの方が聞いたことや飲んだことがあるかと思います。 そしてキャンティ・クラシコ、更にDOCGのヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ、カルミニャーノ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノとそうそうたるワインがありますが、本稿では、初心者向けにIGTトスカーナ、キャンティクラシコ、モンテプルチアーノ、サッシカイアをとりあげました。

IGTトスカーナワイン

トスカーナ ロッソ セール パッソ

ブドウの品種:サンジョベーゼ

これを輸入する「うきうき玉手箱」というワイン業者に私は注目しています。優れもの掘り出し物をよく出品しています。このトスカーナ州・サンジョヴェーゼ種100%のワインも秀逸です。

ほどよい渋みとふくよかな味わいで、赤ワイン愛好家が大注目です。高級ワイン産地のトスカーナ産で、この価格は衝撃的なミラクルワインです。

キャンティ・クラシコ

キャンティ・クラシコは、特定の地域(フィレンツェとシエナの間)、かつ厳格な条件下(ぶどう畑は丘陵地、高度は700mまでという規定)で生産された高い品質のワインとして世界的にも有名なワインです。
キャンティのDOC認定は1967年、DOCG認定は1984年。キャンティ・クラシコとして独立したDOCG認定を受けたのは1996年と比較的最近のことです。古来のキャンティ同盟の紋章である黒い鶏を象ったラベルが特徴です。

キャンティ・クラシコ ブラモシーア

ブドウの品種:サンジョベーゼ

ブラモシーア(Bramosia)はイタリア語の「切望」の意味で、ラベルのテーマは「ロマンス」。キューピッドが恋の矢でバッカスとヴィーナスを魔法にかける様子が描かれております。どんなロマンスにも魔法が必要なのと同じ様に、キャンティ・クラッシコにもサンジョヴェーゼが必要だといいます。濃いルビー。チェリーなどの赤い果実のアロマ。リコリスや赤いバラの香りも。豊かな果実味と酸味のバランスが綺麗にとれており、樽やスパイスのニュアンスも感じられます。タンニンも細かくエレガントな味わいです。

モンテプルチアーノ

モンテプルチアーノは生産量が多く、お手頃なものから高品質なものまで幅広く揃っています。生産本数が非常に少ない幻と言われているプレミアワインも存在し、一口には言えないバラエティ豊かな魅力を持っています。
色はしっかりと濃いルビー色で、チェリーやラズベリー、ブラックベリーなどの爽やかな酸味や瑞々しい果実の凝縮された味わいが感じられます。タンニンはまろやかで舌ざわりが良く、ナツメグやシナモンといったスパイスの風味も特徴に挙げられます。熟成したものは色がルビー色からオレンジ色に変わり、ベリーなどのフルーツの香りに腐葉土やタバコ、コーヒーなどのニュアンスが加わり、味わいも骨格のしっかりとしたものになります。

ロッソディモンテプルチアーノ アヴィニョネージ

ブドウの品種:サンジョベーゼ

ヴィーノ・ノーヴィレ・ディ・モンテプルチアーノと同じ、モンテプルチアーノの町で産する高級サンジョヴェーゼ種で造られる、大人気赤ワインです。そのトップ生産者のひとつアヴィニョネージの高評価ワインです。ベリーの果実味と繊細な香り、まろやかで豊かなアロマが特長で、メインディッシュにも良く合います。

サッシカイア

ブドウの品種:カベルネ・ソーヴィニヨン85%、カベルネ・フラン15%

「サッシ」は石、「カイア」は場所を意味します。

本稿の最後をスーパートスカーナが飾ります。サッシカイアについて語れるようになるとワイン通の中でも一目置かれます。名前だけでも覚えましょう。

スーパートスカーナ

トスカーナには世界中のワイン愛好家が大絶賛するワインがある、と言わしめた言葉なのです。そのシンデレラストーリーがこちらです。→

→イタリアワイン最高とされるD.O.C.G.の規定から外れていたサッシカイアが、1972年のワイン評価誌「デキャンター」が主催するブラインドテイスティングにおいて、ボルドーの一級シャトーや、イタリアのD.O.C.G.ワインなど素晴らしいワインが集められた中で、ボルドーの一級シャトーに圧倒的勝利を飾り、 一躍世界中に「サッシカイア」の名が知られることになったのです。世界中のワイン愛好家は驚きました。これを機に「スーパートスカーナ」という概念が定着したのです。

イタリア政府はワイン産地としては地味だったボルゲリD.O.C.の規定を見直し、「ボルゲリ・サッシカイアD.O.C.」を制定します。特定のワインがD.O.C.に制定されるという、信じられないようなことがおきたのです。

イタリアワインの王者といわれているサッシカイア。サンジョベーゼは使いません。明るく美しいルビーレッドの色調。カシスやチェリー、ブラックベリー、ラズベリーなどの果実や、ユリなどフローラルの濃密なアロマがしっかりと香り立ちます。ワインの評論家ロバートパーカーが93点つけたスーパートスカーナ、これでも大分安くなってます。機会があれば飲んでみてください。

イタリアワインの格付けと、オススメ7選!スーパートスカーナとは?まとめ

イタリアワインの特徴

イタリアワインの格付け

2大産地は、ピエモンテ州とトスカーナ州です。

ピエモンテ州のワイン:バローロ、アスティスプマンテ、ランブルスコ

トスカーナ州のワイン:IGTトスカーナ、キャンティクラシコ、モンテプルチアーノ、サッシカイア

《追記です》

サッシカイアがとんでもないワインを造りました

あのサッシカイアがとんでもないワインを造ったニュースをGETしましたので
ご覧くださったあなただけにお知らせしましょう!
 
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