日本や世界のワイン産地を巡り歩いて30有余年の筆者が、休肝日に発信しています。
今回はいまや日本にとって大変馴染み深くなったチリワインです。
今でこそ関税撤廃で欧州のワインがお手頃価格になっている中、まだまだコスパ最高なワインがチリワインなのです。
ただ安かろう、だけだと思っているアナタ!
その考えは間違っています。
品質も相当良いのです!
チリワインが日本で流行る6つの理由
チリワインが日本でとってもはやっている理由を私は6つあると考えています。
①関税が安く輸入量が増えているから

2007年9月に日本とチリ二国間の「日本チリ経済連携協定」(※)が発効され、チリと日本の間の関税はわずか5.8%・・・ ワインの関税は12年かけて段階的に削減され、2019年4月に完全撤廃となります。この12年間で、チリワインの輸入量は約5倍に拡大しています。
②「チリカベ」ブームがあったから

ある国際的なワインコンクールで、欧州のカベルネソーヴィニョンを勝ったのが、チリのカベルネソーヴィニョンでした。
これは日本に導入され始めたきっかけと言っても過言ではなく、チリのカベルネソーヴィニョンは美味しい!
伝統国のワインに引けを取らない!と話題になり、「チリカベブーム」の到来となったのです。
③そもそも安いから(生産コスト)
チリは他のワイン伝統国に比べて人件費が安いので、生産コストが安いのです。 ワインの生産コストは国によって異なりますが、その理由のひとつとして、人件費の違いがあります。
チリはワインづくりをしている国の中でも人件費が安いほうなので、結果として生産コストを安く抑えることができるんですね。
④安いだけでなく高品質で美味しい
乾燥した気候や日照時間の長さ、昼夜の寒暖差、アンデス山脈から流れ込むミネラル分豊富な水…、
チリはブドウ栽培に適した環境に恵まれています。
19世紀後半、害虫・フィロキセラにより欧州の産地が壊滅状態となり、職を失ったフランスの醸造家たちがチリに流入した歴史がこの国の高い醸造技術を支えています。
このように、太平洋やアンデス山脈に囲まれた地形が特徴で、雨が少ないため日照時間は長く、ブドウ栽培に最適な土壌を有します。また乾燥し、害虫がいないために農薬をほとんど使う必要がありません。
⑤伝統にとらわれずバリエーションが豊富だから
それでいてフランスワインの良さも取り入れているチリワイン。
高品質なのに全体的にお得感のある価格帯が魅力です。チリはフランスのようにワインの醸造についての細かな取り決めがありません。
伝統にとらわれず、新たなワイン造りに挑戦しやすく、新しい醸造方法も積極的に取り入れられる環境が整っています。
それが功を奏し、中高価格帯も含めた豊富なラインアップを持ち、
コストパフォーマンスに優れた品質でありながら手頃な価格と飲みやすい味わいが
我が国に支持され続けています。
⑥日本の食文化にマッチしたから
そういうことで、チリでは様々なタイプのワインが次々と誕生しています。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネなどの国際品種を用い、デイリーワインからアルマ・ヴィーヴァなどに代表されるプレミアムワインまで、多種多様なワインが造られています。
こうしたワインは、日本のお惣菜文化にピッタリはまり、チリワインの我が国での位置づけが揺るぎのないものにまで浸透してきたのです。
何を買うか迷ったらチリワインとまで言う方が増えてきています。
ちょっとひと言
※ 日本・チリ経済連携協定
日本・チリ経済連携協定:2007年に日本とチリの間で締結された経済連携協定。
日本法においては国会承認を経た「条約」であり、日本政府による日本語の正式な題名・法令番号は「戦略的な経済上の連携に関する日本国とチリ共和国との間の協定(平成19年条約第8号)」
ウィキペディア
ところで
チリワインが我が国日本でもてはやされているのはなんとなく?解りましたが、実際全世界的に見て、輸入ワイントータルではどうなっているのでしょうか?
チリワインのマーケット
2018年スティルワインの国別輸入数量で、チリが4年連続で第1位になってます。
- 財務省関税局による「ぶどう酒(2L未満)」の推移

出展:財務省関税局より
財務省関税局貿易統計によると、チリワインの2018年の年間輸入数量は約5万1千KLとなり、4年連続で1位となりました。
輸入ワイン構成比推移
チリワイン約3割、欧州産ワイン約6割
2018年輸入ワインの構成比は、輸入量1位のチリワインが約3割を占め、2位のフランス、3位イタリア、4位スペインなどを含めた欧州産ワイントータルでは約6割を占めています。

3年連続で首位
東京税関の調べでは、29年のチリ産ワインの輸入量は前年比9・9%増の5万5519キロリットルで、比較可能な昭和63年以降、過去最大を記録。輸入量全体に占める割合も3割を超え、3年連続トップとなっています。
19年は8・8%にとどまっていた輸入ワインに占めるチリ産のシェアは、29年には31・0%と大きく拡大しました。「ボージョレ・ヌーボー」などの人気で長らく首位だったフランス産を3年連続で上回り、今ではチリ産ワインは日本中のスーパーやコンビニで買えるなじみの存在となっています。
これからのチリワインの展望
輸入ワイン全体の活性化がある?
日欧EPAが2019年2月に発効され、欧州ワインの関税が即時撤廃となりました。欧州産ワインの関税撤廃により、ワイン市場全体のさらなる活性化が期待できます。
さらにチリワインが伸びる?
EPAでチリワインは4月に関税撤廃で、さらなる伸びが期待出来るか?

しかし、そんな好調ぶりが踊り場にさしかかろうとしています。4月にはチリ産ワインの関税が撤廃されますが、これに先立つ2月には日本と欧州連合(EU)のEPAが発効され、フランスやイタリア産のワインにかかる関税は即時撤廃されています。
関税撤廃についてはこちらをご参照ください→関税撤廃によりワインはいくら下がるの?日欧EPAとは?
欧州産ワインの逆襲が始まってます

それに合わせ国内の酒類各社が2月以降に相次いで欧州産ワインを値下げしています。
「チリ産ワインに押され気味だった欧州産ワインの輸入拡大がじわじわと始まっています。ワイン売り場を見に行けば一目瞭然です。
酒税法改正
酒税法改正が逆風になるかもしれません。
関税がなくなっても、10月に消費税率が8%から10%に引き上げらます。。
食料品などは8%に据え置く軽減税率が適用されますが、嗜好(しこう)品である酒類は対象外となっています。
さらに酒税法の改正によって令和2年10月から令和9年10月にかけてワインは720ミリリットル1本当たり14円増税されます。業界内では、15年に行われた1本当たり10円の増税をきっかけに数年間、ワイン市場の前年割れが続いた苦い記憶があります。
「わずかな増税額ではあるが、チリ産など安価なワインを好む消費者にとっては敬遠される原因になりかねない」
(都内酒店)
そう懸念を強める背景には、ワインの税率が上がる一方で、チューハイやハイボールの税率は38年10月まで据え置かれ、ビールや日本酒に至っては税率が引き下げられます。
こうした“競合酒類”が有利になる条件が整うことで、「消費者がワインから流出する」(洋酒輸入業界)と考えられるからです。
実際、近年はビール系飲料の出荷額が29年までに13年連続で減少するなか、缶チューハイは高アルコール商品などが好調で販売が伸びているのです。
これからの展望に不透明感有り!
チリワインのみならず、価格変動がワイン市場の伸びに課題有り!
単なる価格戦略だけでは市場開拓が難しいワイン市場。恩恵が失われる中、どのように市場開拓を目指すのか。チリ産だけでなく、欧州産、さらには日本産も含めたワイン業界の大きな課題であり、不透明感が増してきているといった感想を酒類業界30有余年の私・筆者が持っています。
オススメのお宝チリワイン 5選
希少価値品含め、是非お飲みいただきたいお薦めのチリワインを5つご紹介します!
ガンマ・オーガニック シラー レセルヴァ
有機認証を取っているチリ屈指の自然派ワイナリーなんです!
濃い色の果実やコーヒーの香りに、しっかりとした果実味と少々のスパーシーさ、熟したタンニンを感じる、滑らかな口当たりの逸品です。
チリワインの意外な奥深さをあなたも感じることになるでしょう!
しっかりオーガニック、凄いです。
ラポストール カルメネール
ブドウ品種はチリを代表する品種、カルメネールです。豊かで複雑性もあり、よく熟れたベリー系の香りに加え、スギやタバコ、ヴァニラの香りも特徴です。まろやかなボディ、滑らかでソフトなスタイルに仕上がり、永続性のあるタンニンはまさにカルメネールの特徴そのものです。活き活きとした果実味のフレッシュさと渋みのバランスが良い、ラポストールのスタンダードレンジです。3つの自社畑と契約栽培農家のブドウを厳選し、品種の個性を最大限に表現しています。
カリテラ・レセルヴァ・シャルドネ
カリフォルニアのロバート・モンダヴィとエラスリス社5代目当主エデュアルド・チャドウィックにより誕生し、「品質(CALI)+土壌(TERRA)」から名づけられた「カリテラ」。
チリの伝統と大地への愛情、そして自然環境を尊重しながら、質の高いワイン造りを行います。ラベルのシンボルはカリテラ・エステートのぶどうの樹。コルチャグア・ヴァレーにある自社畑を中心 に、一本一本丁寧に育てたぶどうの樹から生まれたプレミアムチリワインです。
トロピカル・フルーツやアプリコットのアロマが広がり、爽やかな酸味と程よいコク、ミネラル感がバランス良く調和しています。
ヴェンティスケーロ・グレイ・ピノ・ノワール・シングル・ブロック
【ヴィンテージは順次変わります】
“グランジ”を手掛けたジョン・ディバル氏の醸造テクニック、さらにチリの有名なワイナリーで指揮をとっていたフェリッペ・トッソ氏のチリワインの豊富な情報、ノウハウとが重なれば、それはもう当然!凄いワインが生み出されます!
たくさんあるワインのブドウ品種の中でも、ピノノワールは特に栽培の難しい品種として、知られています。ゆえにピノノワールの美味しいワインとなれば、ブルゴーニュの特にコート・ドール地区産のものが栽培に向く気候、土壌の為、有名ですが、ここ最近ブルゴーニュの価格が上がっており、 リーズナブルで美味しいピノノワールを探すのが非常に困難になっております。 こちらはチリ産の為、非常に魅力的な価格でご紹介出来ます。飲み込んでしまうのがもったいない!と思わず思ってしまう程の美味しさ!この価格で、このクオリティの高さは素晴らしいです。
コノスル シレンシオ カベルネ・ソーヴィニヨン
年間生産本数僅か3,000本、コノスルの最上級カベルネ・ソーヴィニヨン。チリ最高峰のカベルネ・ソーヴィニヨンを生むアルト・マイポの高樹齢葡萄を使用。最良のキュヴェをフレンチオーク樽でじっくりと熟成。味わいの深みが更に増すまで瓶熟させて仕上げた逸品。
チリワインの現状と展望、お薦めお宝チリワイン5選 まとめです
チリワインが日本で流行る6つの理由
①関税が安く輸入量が増えているから
②「チリカベ」ブームがあったから
③そもそも安いから(生産コスト)
④安いだけでなく高品質で美味しい
⑤伝統にとらわれずバリエーションが豊富だから
⑥日本の食文化にマッチしたから
チリワインのマーケット
輸入ワイン構成比推移
チリワイン約3割、欧州産ワイン約6割
3年連続で首位
今ではチリ産ワインは日本中のスーパーやコンビニで買えるなじみの存在となっています。
これからのチリワインの展望
EPAでチリワインは4月に関税撤廃で、さらなる伸びが期待出来るか?
欧州産ワインの逆襲が始まってます
酒税法改正が逆風になるかもしれません。
これからの展望に不透明感有り!
単なる価格戦略だけでは市場開拓が難しいワイン市場。恩恵が失われる中、どのように市場開拓を目指すのか。チリ産だけでなく、欧州産、さらには日本産も含めたワイン業界の大きな課題であり、不透明感が増してきているといった感想を酒類業界30有余年の私・筆者が持っています。
オススメのチリワイン 5選
ガンマ・オーガニック シラー レセルヴァ
ラポストール カルメネール
ヴェンティスケーロ・グレイ・ピノ・ノワール・シングル・ブロック
コノスル シレンシオ カベルネ・ソーヴィニヨン
カリテラ・レセルヴァ・シャルドネ
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