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どうも!ワインアドバイザーのはぎおまさるです!

日本全国津々浦々、転勤で住み歩き飲み食べ歩いた経験から、ヘルスケア情報・介護問題・スピリチュアルな出来事、専門はワインです。
ワインに携わって30有余年、ワインアドバイザーとして世界の産地を訪ね歩いた経験も発信しています。
今回はイタリア・トスカーナ地域のワインに焦点を絞りました。
以前の執筆→ イタリアワインの格付けとオススメ7選!スーパートスカーナとは?
の続編として、スーパータスカン(トスカーナ)にもっと焦点を絞りたいと思います。
あらためてスーパートスカーナについて簡単におさらいをします。
目次
スーパータスカン(スーパートスカーナ)
「スーパートスカーナ」は、「スーパータスカン」とも呼ばれています。「スーパートスカン」という人もいますが、発音の違いだけですので同じことです。日本を「ニッポン」と言ったり「ニホン」と言ったりするのと同じです。
トスカーナには世界中のワイン愛好家が大絶賛するワインがある、と言わしめた言葉です。
スーパートスカーナ(スーパータスカン)とは、広い意味でいえば
トスカーナで造られる法に縛られない世界品質の国産品種のワイン
という意味で使われます。
イタリアのみならずラテン系の人たちの多くは自由奔放な人が多く、法律を守るのがバカらしく思っている方が少なくはないようです。
法で定められた伝統品種を使うのではなく、カベルネソーヴィニヨンなどを使用した国際品種で本当に美味しいワインを造ろう。これが、スーパートスカーナの基本姿勢です。
スーパータスカン発祥の地「ボルゲリ」
スーパータスカン(トスカーナ)発祥の地は、イタリア・トスカーナ州のボルゲリです。上図(トスカーナの州都地図)で、Livorno(リボルノ県)に属し、海に近い風光明媚な田舎町です。
湿地帯でもあったこの場所は肥沃な土壌を活かして様々な農産物・穀物が栽培されていました。
ブドウ栽培は活発でない土地でしたが、沿岸部であるボルゲリは比較的温暖で昼夜の気温差があり、ブドウ栽培にも向いていると目をつけていた人物がいました。
マリオ・インチーザ・デッラ・ロッケッタという人物は、ボルゲリでサンジョベーゼといったトスカーナの定番品種を育てていたのですが、違和感を持ち続けていました。
1944年、ボルドーのシャトー・ラフィット・ロートシルトからカベルネソーヴィニヨンの苗をもらったことを契機に、自分の畑でカベルネソーヴィニヨンを植えてみたのです。
「ボルゲリは、サンジョベーゼよりもカベルネソーヴィニヨンが合っている」という思惑をひそかに持ちながら、最初は楽しみ半分で造っていましたが、いつしか醸造責任者やワインを専門とする大学教授などの力を借り、ボルゲリのカベルネソーヴィニヨンの製品化にこぎつけていったのです。そしてそれが大当たり!大成功したのです。
テイスティングで驚嘆の声
当初、ボルゲリのワインは「テーブルワイン」の格付けだったため、誰もマリオ・インチーザ・デッラ・ロッケッタのワインには見向きもしませんでした。そんな時、転機が訪れます。
ブラインドテイスティング
デキャンターという有名ワイン雑誌がブラインドテイスティングのイベントを開催。
マリオ・インチーザ・デッラ・ロッケッタのカベルネも参加します。
そして、カリフォルニアワインが有名になったように、ボルゲリもボルドーの1級シャトーたちを超える評価を得て勝利をおさめました。
世界中に「イタリアで凄いワインが造られている」と評判が駆け巡ったのです。
一気に知名度が上がったボルゲリという産地は、瞬く間に世界中のワインファンから羨望の眼差しで見られるようになったという経緯です。ワインの価格も高騰していきます。
DOCへ昇格
ボルゲリは、歴史的にも並のワインの産地でしたので、「テーブルワイン」の格付けでしたが、一躍有名になり、さらには価格の高騰、評価もうなぎのぼりしていったことから、イタリア政府が看過しなくなります。
格付けが下のワインの方が、最高格付けDOCGよりも美味しいという評判が出てきたため、ボルゲリがDOCに昇格していきます。そのきっかけとなったワインがボルゲリで生まれたことにより、ボルゲリのワインがスーパートスカーナと呼ばれる所以なのです。
スーパータスカンのオススメワイン5選
さて、スーパータスカンがどういった歴史で生まれ、人気を博していったかをお伝えしてきました。最後に、スーパータスカンと呼ばれるワインを造る主要な生産者たちを紹介しておきましょう。
オルネライア
まず、ボルドーブレンドのスーパータスカンで知られているのが『オルネライア』です。重厚感があり、果実味の凝縮した極上のワインを生み出します。サッシカイア、グラッタマッコに並び、三大ボルゲリと呼ばれる「オルネライア」。
本稿では、フィレンツェの名門アンティノリが生み出した、スーパータスカンのご紹介をします。収穫を全て手摘みで行い、ぶどうを丹念に選別し、独自の個性を表現できるよう各区画ごとに別々に醸造を行っています。
収量を抑え、細心の注意を払われて生み出されたワインは、世界屈指のワインとして数々の賞を受賞。
2001年にはワインスペクテイター誌にてTHE TOP 100 WINESにて第1位を獲得し、世界有数のワインメーカーとしての地位を不動のものにしています。
ソライア
『ソライア』はスーパータスカンのなかでも特に高級なワインとして知られています。
生産者のテヌータ・ティニャネロによる、最高品質のボルドーブレンドワインは一度飲んだら忘れられない恍惚な時を奏でます。
2013年のトスカーナは、4月に霜が降りブドウの生育への影響が懸念されましたが、それがブドウの芽の数を調整することとなり、意図的でなく自然と低収量の条件をつくりだすことに成功した年。5~6月は素晴らしい天候が続き、昼夜の温度差が大きくなります。その結果として結実不良が全くないという稀にみる優良ヴィンテージとなりました。 3種のブドウのブレンドから生まれる、熟したチェリーや黒スグリ、 スパイスやダークチョコレートのニュアンス。 時間とともに、タバコやベイリーフ、ラム酒のケーキやリコリスなど 様々なアロマがグラスから溢れるように感じられます。 しっかりとした骨格にしなやかなタンニンが余韻まで続き、 非常にゴージャスな印象。長期熟成して愉しみたい素晴らしい逸品です。
サッシカイア
元祖スーパータスカンと呼ばれている『サッシカイア』。30年以上の歴史を持つ、まさにボルゲリの生きる伝説的ワイナリーです。サンジョベーゼは使いません。明るく美しいルビーレッドの色調。カシスやチェリー、ブラックベリー、ラズベリーなどの果実や、ユリなどフローラルの濃密なアロマがしっかりと香り立ちます。ワインの評論家ロバートパーカーが93点つけたスーパートスカーナ、これでも大分安くなってます。機会があれば飲んでみてください。
ルーチェ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
スーパータスカンを語っているのに「ルーチェ」を外すわけにはいきません。
なかなか入手困難なワインです。
フレスコバルディ家とオーパス・ワンのモンダヴィ家のジョイントで生み出されたルーチェ。
神から与えられた光~ルーチェ。
ワインへの情熱と卓越した醸造技術から生まれたワイン。
そのルーチェが造るブルネッロは、ルーチェの丘にわずかながら認められた5haの畑から造られます。
こちらは、サンジョベーゼ(ブルネッロ)100%で造られている貴重な逸品です。
すみません、下記に商品リンク貼りましたが、入手・購入できるか?保証は出来ません。
カステッロ・ディ・ボルゲリ「ヴァルヴァラ」
最後に、スーパータスカンのセカンドワインで締めたいと思います。あまりスーパータスカンばかり追い求めても、どんどん実生活から離れていってしまいます。
イタリアワインはとても奥が深く、ボルゲリのみならず、安くて良いワインがたくさんあるのも特徴のひとつです。
イタリアワインが好きな人は、こういった「埋もれた」高品質でコストパフォーマンスのあるワインを探し求めます。私もそれが本来だと思います。探し求める旅が尽きることはありません。
このワインの「ヴァルヴァラ」とはオーナーの祖母の名前を冠したセカンド・ワインです。セカンドとは言え葡萄は厳しく選別された房のみを使いクリーンな味わいの上、今からでも柔らかくフレッシュ。フルーティーかつバランスが良く、アロマティックなワインに仕上がってます。赤い果実や小さい花、ブルーベリーや白胡椒、ヘーゼルナッツやオレンジ・ピール、海を連想させるかすかな潮の香り。タンニンがソフトに感じられ、フレッシュな果実の風味と酸の広がりがよく、余韻も長く持続します。とってもエレガントな味わいになっています。
スーパータスカンとは?イタリア・トスカーナ話題のワイン5選 まとめ
スーパータスカンは、古く凝り固まった常識を軽々と超えていく、まさに革命児的な存在のワインといえます。
本稿ではレアなワインばかりご紹介しましたが、この知識をベースとして、5番目に紹介したボルゲリ「ヴァルヴァラ」みたいな「埋もれた」高品質でコストパフォーマンスのあるワインを探してみるのもイタリアワインを楽しむ方法です。私なんかも探し求める旅が尽きることはありません。高いワインばかりが良いワインとは限りません。
おススメスーパータスカン
①オルネライア
②ソライア
③サッシカイア
④ルーチェ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
⑤カステッロ・ディ・ボルゲリ「ヴァルヴァラ」